2007-04-02

[]「戦国風流武士 前田慶次郎海音寺潮五郎

おお、前田慶次もの…と思って読み始めてみたらこれがまたえらい面白かった。この作者の人はわりと高名な歴史小説家なんですな。過去に二冊、隆慶一郎一夢庵風流記南條範夫の傍若無人剣という前田慶次郎を主人公に据えた小説を読んでいるのだけど、これはまたこの二つとは趣が違う一冊でありました。

隆慶前田慶次はもう完全に超人。武力においても学においても超一流であり、なおかつ人情味もあれば遊び心もあるっつう完璧に近いんだけど傾いてたのですというような感じで、南條前田慶次は女にモテて口が達者で喧嘩も強いっつう時代劇っぽい感じであり、海音寺前田慶次はわりと普通の人であった。決して凡庸ではないというか優れてはいるのだけど、人間として想像できるレベルのすごさであった。

なんといいますか、実に真摯に前田慶次郎という武士を小説として書いたらこうなったという感じで、ページ数は少ないながらも親切に、そんで省くところは大胆に省いて話を進めておられてものすごく読みやすくて好感触でありました。んで結構話が脇道に逸れたりするんだけど、その話がいちいち面白くって、場合によっては本編そのものよりもそっちの方に興味を惹かれたりしたんで、ちょっとこの人の本はいくつか読んでみないとならんなと思いました。

とりあえずこの小説における上杉景勝はよろしいです。景勝と直江という組み合わせは見てるとわりと幸せになる。あーあと久々に個人的嗜好のあまり入っていない豊臣秀吉を見たような気がする。この辺りの秀吉家康の流れは書いてる人によってかなり印象が違ってくるので面白いですな。

戦国風流武士 前田慶次郎 (文春文庫)

戦国風流武士 前田慶次郎 (文春文庫)

[]きっかわさん

なんだか昔から格好いいモノとして吉川晃司さんという人が存在している。本当に格好いいとか本気で心の底から思っているわけではないのだけど、格好いいモノと吉川晃司が俺の頭の中で距離的に近い所に存在しているのであろう。もうその格好いいは本当の意味ではなくて記号的に格好いいものであり、吉川晃司も多分きっと記号的に吉川晃司なわけであり、そういう連想状態に入るともうなんか何が格好良くて格好悪いのかとかそういう判断基準があやふやになってキスに撃たれて眠りたいぜオウイエーとなるわけであり唐突になにを言ってるんだこの人は。

[]ハトさん

ハトが離陸するときってなんか「キョキョキョキョキョー」みたいな音がするじゃないですか。するんですよ。俺が見たハトはたいてい「キョキョー」言うてるんですよ。そんでそんなとき暇で無駄な空想力がある人たちは、もしかするともしかしてハトってロボなんじゃないのかしらというようなことを想像するじゃない。ハトロボ。たぶんあの音はですね、バイクとか車のセルモーターの音みたいなものなんですよ。「キョーキョキョキョキョ」っつう。んでやっぱあいつらは街の観察者として「クックルークックルー」言って首を前後に振っているわけですよね。この音は多分どっかに送信してるんだね。なにかを。こえーハト。感情なさそうだもんね。