2006-11-19

[]「リアル 6」 井上雄彦

重い重い重い。なんという重い話を描くんだ。真綿で首を絞めるという表現がありますけど、この漫画は巨大な真綿が際限なく自分の上に被さってくる感じの重さだ。というかもう一年経つんですね。次出るのも来年だというし。最初に読んだのってもう何年前になるんだろうか。というか、相変わらずこの漫画はバスケ漫画ではないのなあ。

前にも書いたかもしれないですけど、この漫画では野宮の考え方とか生き様ってのにやたらと共感させられるというか、思想としては幼いけれども、世の中を踏ん張って生きていくためには一番必要な要素がそこにはあるという感じであり、今の自分にもそういった気持ちというのがあるからしてこの男に共感してしまうわけですけれども、他の二人、いやまあ誰が主人公ってわけでもないけれども、話の本筋にいるもう二人に共感しないのかといったら今ひとつピンと来ない。

ピンと来ないからって違うというわけでは無くって、俺の中にはない考え方だったりするし、大きな所では立てないほどの障害を俺は持っていないというところもあるのかもしれないけれども、そこはまあ別問題なんだろうな。しかし何ヶ月か前に指を怪我して思うように動かなくなったくらいで、俺の指はもう一生このままなのかしらくらいに相当に俺はへこんだので、足が動かないなんて事になったときの絶望ったらすげえんだろうなと思うわけです。

で、その絶望と向き合っているのが高橋でその先にいるのが戸川なんですよね。そしてわりと希望に満ちた感じというか明確に生きていく意志がある戸川パートがある分絶望の塊の高橋パートが重く重くのし掛かってくるのだよなあ。ああ、上手いこと出来ているなあこの漫画。そして野宮の現実。それぞれのリアル。あ、上手いことまとまった。まとまったのでこの感想終わり。一年後をお楽しみにします。でもそのうち普通に車椅子バスケの漫画になったりするんですかねえ。それはそれで読みたいけれど。

リアル (6)

リアル (6)

[]「天狗の落し文」 筒井康隆

断片!断片!また断片!という感じで、思いついたことをささっと書いて一冊の本にまとめた内容。だからといって内容が薄いのかというと、そうではなくてめちゃくちゃ濃い。というか、筒井康隆のいろんなものがこの本の中にはつまっている。

とりあえず俺の読書体験というか本を読もうという意識でもって望んだ原体験は幸せなことに筒井康隆であり、この作家と最初に出会っていなければ、未だもってこんなにも本を読んだりするようなことはなかったと思う。筒井康隆から椎名誠に移行していって、十代の頃はこのあたりのSFを貪るように読んだものです。といっても、小松左京あたりで止まったんですけども。だから別にたいしたことはない。

しかし知識はないけれど思い入れはありますということで、とりあえず筒井康隆小説を読むとわりと暗黒な精神状態であった十代の頃の思い出が蘇ってくるので、積極的には読んでいなかったというか、断筆宣言明けてからもあんまり読もうという気にならなかったんだけども、突然久しぶりに読みたい読みたい読みたくてどうしようもないという発作に襲われて、読もうと思ったんだけど前記の理由から躊躇、及び本棚にある既読の本でも読んでリハビリしてからの方がいいんじゃないかと思ったら、なんだか軽い感じのこの本が目について読んでみたら、今の俺にピッタリな感じの筒井康隆分が含まれていて、ものすごく楽しかったです。

以前にも超短編がたくさん入っているようなものがあったけれども、これは本当に断片集という感じであり、筒井康隆の思考の一端をかいま見ることが出来る感じであり、やたらと興味深い内容でした。

天狗の落し文 (新潮文庫)

天狗の落し文 (新潮文庫)

[]ようかいあめふらし

いつも日曜日は仮面ライダー見たりボウケンしたりで気がつくとお昼になっており、さらに気がつくと夕方になっていたり、さらに気がつくと功名が辻を見ていたりするので、今日は一念発起して午前中から出かけちゃおうかしらと思って、渋々着替えて表に出たら薄曇りで、あーあ…でもまだ雨降ってないから出かけよう!と思って原付乗って50メートルくらい走ったらポツポツと雨が降ってきたので帰ってきました。なんだこれは俺は雨男とかそんなんか…と陰鬱な気持ちになりつつも、でも出かけた先で雨が降らなくてよかったなあとちょっと思ったので、根っこがわりとポジティブなんだなあ俺と思った。

[]仮面ライダーさなぎ

いつの間にかシャドウの雑魚の人たちがさなぎワームくらいなら余裕で倒せるようになっていたので驚きである。というか久々になんか進展のあった回のような気が。気のせいか。先週まであんだけ大活躍だったトンボももう出てこないんすね。それはそれとしてぼっちゃんのアホがえらいこと進行していて少々引いた。進行しすぎてまともな台詞とか行動が一切なくなってしまった。やることなすこと奇怪である。地獄の兄弟入りしちゃったしなあ。ますます酷いことに…。

それはそれとしてゼクトの存在そのものがネイティブのあれになっていたり、田所さんがあれだったりしたわけなんですけども、天道のあれがあれだとは…。あればっかりであれですけど。ともかく新しく出てきたボスっぽい人の生身状態での動きが尋常ではない。多分早回しもコマ飛ばしもしてないっぽいのであの人はナチュラルにクロックアップしておられるのであろう。そしてクロックアップバトルの行き着く先はやはりジョジョ的世界なのだろうか。だろうな。