2006-01-13

[]「金魚屋古書店出納帳 上下」 芳崎せいむ

なんとなく読んだらすごく良かった。漫画の漫画というか、漫画好きの人たちばっかり出てくる漫画だった。古書店ということで古本屋の話なんですけども、その本屋にはないものはないという感じの伝説的古書店といったら大げさですけど、ともかくその古書店に関わってくる人たちの話。

漫画に対する愛情がひしひしと伝わって来るというか、その対象ががどういうものであれちょっと偏執的な愛情というのは見ていて面白い。しかし古書マニアみたいな人ばっかり出てくるというわけでもなく、一冊の漫画が人生を変えるみたいな、こう、字にしてしまうと安っぽくなりますけれども、基本的にはいい話ばっかりでじわりじわりと来る内容だった。

しかし古書店そのものに関してはリアルさはあまり感じられない。地下に無限とも思えるような在庫を抱えてる古書店なんてあるわけがないし、店主のあとを継いだ孫娘がすんなり経営できるような感じにも思えないんですけれども、そこはなんというか底の見えなさというか、言い方は良くないかもしれませんが漫画的な幻想という感じで非常に効果的だと思った。なんというか漫画の漫画でものすごく漫画らしい漫画だなというか。

あと「せどり」の人が出てくるんですけれども、なんとなくブローカー的イメージがあってあまり良くないイメージを個人的に持っていたのだけどこの漫画を読んで印象が全然変わった。モノの適正価格が解る人たちというか、いわゆる目利きみたいな人たちなのだろうなぁという印象に。でもこの漫画には基本的に悪い人は出てこないんで実際の所はどうなのかよく解りませんけれども。

漫画が好きな人は総じて楽しめる漫画だと思うというか、好きな人じゃないとこの漫画を読もうというような気にすらならないかもしれませんけれど、作中に出てくる漫画の小ネタとかは漫画好き人間は結構ニヤニヤするんじゃないかと思った。でも知らなくても全然問題ないんですけれども。実際聞いたことのないような漫画も結構出てくるし。

「漫画を好きな人はみんな幸せになって欲しい」という台詞があるんですけど、それがもう全てを表しているなぁといういう感じでした。いい話だった。というかこれ、掲載紙移って続いているみたいなのでまた読みます。いい漫画を知った。

金魚屋古書店出納帳 上 IKKI COMICS

金魚屋古書店出納帳 上 IKKI COMICS

[]「東京家族 1~5」 山崎さやか

なんか微妙に古いですけども、読んでなくて読みたかったから読んだ。この人は沖さやか時代にヤングサンデーを回収させた人であり、筒井康隆先生の七瀬ふたたびを面白い漫画にしていたというイメージくらいしかなく、漫画雑誌を毎週毎週買っていた頃に結構力業の漫画描くなぁくらいの感じで読んでいた作家さんだったんですけど、この漫画は非常に面白かった。

売れっ子の小説家が若い頃にあちこちで作った子供を押しつけられて、あたふたしながらもどうにかこうにか楽しいっつう父子七人の暮らしを描いてゆくという感じなんですけども、なんかちょうどいいどたばた加減というか、リアリティはないのにリアルというか、ちょうど良い緩さが読んでていい気持ちになれる。

なんか個人的にこの漫画家に抱いていた、破天荒で無茶苦茶ながら全体としてみるとギャグ漫画みたいなイメージが変わった。ちょっと偉そうな物言いですが、人間を描くのが上手いなぁと。前からそうだったような気もするけど改めてそう感じた。言い方はあれですけど見直した。どこら辺までが描いていいラインか見極められるようになられたのでしょうねきっと。はるか17もちょっとしか読んだことないですけど結構面白いし。マイナスとかマザールーシー辺りの頃はこんなちゃんとした話が描ける人になるとは思いもしなかったです。

東京家族 (1) (ACTION COMICS)

東京家族 (1) (ACTION COMICS)

[]似てるか

MEGUMIさんと松嶋奈々子さんの鼻の下関係。