2009-07-21

[]「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」 北尾トロ

面白い。前回のも面白かったけど、今回若干客観性が損なわれていた感じというか、なんか傍聴人歴を積んで妙に思い入れが強まっているというか、主観が入り始めていて、むむ…という感じであった。しかしそれでも面白い。

まあ何が面白いってこの人の視点が面白いんだろうけど、見てる事件が面白いわけであり、あんまりこういう事言っちゃいけんのだろうけど、犯罪者の抜けてる感じが面白いのね。そういう事件を選んで見てるんだろうけど。

しかし、だんだん傍聴人として成熟してきて裁判官とか検事やらに視点が移っていっているのも自然な行為なんだろうけど、なんか読んでて妙な気持ちになってくる。この人は、いやこの人達は一体何がしたいのかという。明確な目的があってやってるわけじゃないんだろうけど、対岸の火事を見ておおーって思ってるだけのような。いやなんでしょう、見物が趣味なんでしょうね。多分見たら興味惹かれるかもしれないけど、なんだかなあという感じもある。しかしこれだけ面白く書けるならばメシのタネとして成立してるわけで、この人の場合は商売でもあるのよな。そうか。

裁判長! これで執行猶予は甘くないすか (文春文庫)

裁判長! これで執行猶予は甘くないすか (文春文庫)