2009-07-20

[]「なめこインサマー」 吉田戦車

乗り物シリーズに続いてのエッセイもの。なめこインサマーとはなんぞやと思ってたら、娘がなめこが食べたいというのでおやつにめんつゆで和えたなめこを出してみたら喜んで食べましたね、娘は。という話のなめこ!そして夏!という表題であった。

というか本人も書いてるけども、本業が物書きじゃない人の書くエッセイ的な文章というのはわりと面白いっつう話であり、まあ当たり外れはものすごくありますけども、吉田戦車の書く本人曰くの作文はほとんどだいたい面白い。というかだいぶ昔の不条理漫画家として尖ってた頃の片鱗が見え隠れしている頃の文章が抜群に面白い。何かもうまわりのものを全て吉田戦車のゾーンで表現しなければ気が済まない感が何か楽しい。というかなんでか吉田戦車には特別な思いがあるのだけど、俺が本当に意識して漫画を読んでいこうと思わせるきっかけになった漫画というのが戦え!軍人くんであり、なんかもう吉田戦車というだけでわりと特別な感じになっておるのですよね。

で、その頃の文章に比べると、どっしり地に足がついている感じの最近の文章もまた面白い。娘とめしの件などは普通に笑える。なかなか文章だけで声出して笑うってのは最近あんまりないんだけども、なんかこう、素直に笑えた。こう、文章で人を笑わせるというのはやろうと思ってもなかなか上手くはまってくれないというか意図するところの表現になってないようなことが多かったりするので、普通に面白いこと書ける技術というのは単純に尊敬出来ることですよな。まあ褒めてばかりいてもあれなので頑張って駄目なところを探してみました。テントをむって押す話とジュースをストローで盗む話はなかなかひどいなあと思いました。ひどい。

なめこインサマー (講談社文庫)

なめこインサマー (講談社文庫)