2009-09-16

[]「怒る技術」 中島義道

そう、キレるんじゃない、怒るんだよという話。基本的に怒らないで我慢してやり過ごしたり、怒れなすぎて突然キレたりするような人がちょっと多すぎませんか、日本人それでいいのですかという感じの話であり、わりと納得できる部分も多い本だった。まあ人によるでしょうけど、この本を読んだからといっていきなり効果的に怒るようになれるわけではないとは思う。

一応この本は効果的に怒る方法を示しているのだけど、そこにいたるまでには人間的にすごい成長を遂げないと難しいものがあるよなと感じる。作者自身キレる→積極的に怒る→怒らない→作為的に怒るというすごい大雑把だけど、こんな感じの成長をしているわけであり、まああんまり大雑把に書いてると怒られそうな気がするのであれですけど、わりと人間的に破綻してる部分があるような常識人という感じの人なので参考になるようなならないような。

でもまあ怒りを溜め込まないというのは重要だなあと思う。自分自身、昔はすごい怒りっぽかったもんで、これはいかんというか自分も周りも疲れてしまうなあと反省して、怒らないような人格形成を心がけていたらいつの間にか怒れなくなっている自分がいたので、この本に書かれている文章というのはわりと切実な問題なのである。

とにかくまあ怒らなければいけない状況で、最高に効果的な怒り方が出来るようになれば結構生きやすくなるよという話で、そのためには自分の中で怒りを感じて、怒りを育てて、怒りを表現出来るようにならないといけない。しかしこう、怒りを持続するというのが一番困難な行為ですよね。怒りを育てるのが一番疲れる。その疲れが嫌か、自分の不快感が伝わらないのが嫌かそこら辺の選択が難しいっすね。そこら辺、抗議の手紙を書くというのは感情を留める行為として優れているよなあと思った。

とりあえずこの本で一番いいことを書いてらっしゃると思ったのは、相手のことをすぐに理解不能だと切り捨てる人間の浅ましさみたいな所を書いているところであり、この人は人間というものについて考えるのが日常なのであろうなあと感心してしまった。

怒る技術 (角川文庫)

怒る技術 (角川文庫)