■ [漫画]「リアル 1~5」 井上雄彦
車椅子バスケット漫画という認識はあったもののなんとなく読んでなくて読んでみたらやっぱり面白くて困った。つーか重い。重いんだけど重さを必要以上に重く感じさせないのでパラパラ読んでいて、所々でグワッと持っていかれるので泣く。ものすごくあざといような気もするんだけど漫画として面白いんだな本当にこれは。
三人の主人公のリアルというか現実というか人生というか物語を描いてるんだけども、障害者とか健常者とかそんなん関係なくみんなもうとにかく前に進んでいくしかなく、でも普通にというか順風満帆に生きていけるほど器用じゃない人たちなんで、色々悩みながら苦悩しながら生きていくわけで、三人の中で唯一健常者である野宮が一番グダグダなのもまたリアルなんじゃろうか。
これはもう障害を持って生きている人たちには失礼極まりない考え方かもしれないけれど、制約のある中でどうやって生きていくかという方が上手くいくんじゃないかなんて勘違いをしてしまうほどに生き生きしてる人たちが出てくるわけで、本当にもう俺は何をやっているんだろう…という感じで野宮に自分を重ねてしまった。俺は。
しかしバスケ漫画だと思っていたら思っていたよりはバスケバスケしてなかったので驚いた。もちろんバスケット描写はきちんとあるんだけども、それがメインに来ることなくそれぞれの生き方やらバックグラウンドやら悩みやらなんやらの方に重点を置かれている感じで、やっぱりものすごく重いわけなんですが、この作者特有のユーモアというか笑いの部分も結構あるんであっさり読もうとすれば読めるんですけれども。
でもこんなに泣かす漫画描く人だったんかなあ…なんつー事を思ったりしつつ、読まずにはいられない感じにさせられるんで漫画として面白いって事なんだろうなこれはという感想。バガボンドもいいですけどこっちに本腰入れて描いて欲しいなあなどと思ったり。年一ペースというのは結構きついなあ。まだまだ先は長そうだし。しかしもう本当に絵が上手いですね。今に始まった事じゃないけれども。本当に上手い。読んでるとなんかしなきゃいけない気分になる漫画ですよ。なんかって何か解らないですけどそういう気分になる。