2009-05-08

[]「この世でいちばん大事な「カネ」の話」 西原理恵子

ものすごいことが書いてありそうなタイトルですけども、読んでみたら西原理恵子の半生の話というか、自叙伝みたいな感じの本だった。まあ基本的にはお金の話にはなってるんで間違いはないんだろうけども。全体的に子供に語りかけるような文体なので、慣れるまで抵抗がありましたけども、読み進めて慣れた頃には読み終わっていた。

正直もっとえぐいことが書いてあるのかなとも思ったのだけど、割と理解の範疇の中に収まるような話であり、しかしまあ割と目を背けがちなことをストレートに書いているので、たまに心に刺さってくる。まあこの人の普段の漫画もそうですけども。最下位には最下位の戦い方があるとか、貧しさのループからの脱却とか、そういう大人になって諦めてしまいがちなところに正面切って立ち向かう様というのはなんか揺さぶられるものがあった。

大人ってのは基本的にどっか諦めがあるというか、子供の頃みたいな夢を見なくなったといいますか、目の前の現実に対処するのにいっぱいいっぱいになってしまって、現状というか根本をどうにかするという考えになかなか至らなかったりするんだなとか考えさせられたりした。そこら辺この本のお話からはずれちゃうのかもしれないけど。

まあなんといいますか、結局のところ今の世の中金より大切なものはたくさんあるんだろうし、金では買えないものってのもたくさんありますでしょうけども、それはそれとして金がなければ話にならないというか、戦えないんですよな。

この人の漫画の中に出てくる言葉でいちばん覚えてるのが「金がないのは首がないのと一緒」というのがありますけども、要約するとそういう話であったと思いました。あんまりカネカネ言ってるのも貧しいけどもな。あと装丁がすごい。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)