■ [読書]「東京奇譚集」 村上春樹
久々に村上春樹の短編集読みましたけど、どうしてこう、サラッと読めるというか、あっさりしてるんでしょうね。いつもそんな感じだったような気もするけど。なんか読む前にはある程度の覚悟みたいな、なんとなく読み始めるという感じではない意識で読み始めたのだけど、普通にするする読んで、あーやっぱ村上春樹は村上春樹だねえとかそんな感想を抱いたっつう。
一応お話としては実話に基づいて脚色をくわえたフィクションて感じなんでしょうけども、って回転木馬のデッドヒートもそんな感じの話だったような…あんまり覚えてないけど、結構好きな話が多かったような気がするので今度再読しよう。って、感想を書くんだった。そうそう、実話を一応元にしてるんだろうけど、それにしちゃちょっと話が浮世離れしてる感じで、だからこそ奇譚なんでしょうけども、そのちょっと現実感のなさがすごく良かった。
村上春樹の小説を読み始めた頃ってのはこの人の小説にわりと現実味があるような気がしていたのだけど、よく考えてみると結構現実からは遠いお話が多く、また現実に村上春樹の小説に出てくるような人たちがいてもちょっと接し方を考えてしまいそうな感じもあるし、現実的というよりもむしろちょっと幻想的っぽいからこそ面白いのかななどとなぜか今更考えてしまった。実話云々を最初にこの人が書いてるからそんなことを思ったのかもしれない。
しかしまあそういうのは抜きにしても、普通に読めてそれでいてなんかこうずっしりと感じたものがあったような気がする読後であり、その感じたものがなんなんだかいつもちょっとよく解らないのだけど、そういう感じも含めてなんか面白かったなと思わされているわけであり、なんだか少し悔しいような気がする。こう、いつか村上春樹の小説を読んで、こんなもんは読むに値しないような文章だとか言えるような人間にならないものか。なんか簡単に価値観が揺さぶられてしまっているようで悔しい。でも面白い。