■ [読書]「二〇〇二年のスロウ・ボート」 古川日出男
初古川日出男。村上春樹のカバーというか、中国行きのスロウ・ボートのリミックスだというのは知っていたんだけども、最初にこの本を選んだのは失敗だったような。いやものすごく面白いんだけど。この圧倒的すぎる一人称はどこか舞城王太郎的ですよな…と思わせつつ、しっかり村上春樹が入っている。いや全体の雰囲気が村上春樹なんである。
中国行きのスロウ・ボートも軽く読み直してみた、というか読み終わったあとに、こ、こ、こここんな話だったっけ…?と思って、あらすじを思い出すために眺めてみたというか、とにかくまあ話は全然違う。似てるところもあるけど全然違うし。それでも村上春樹っぽいこの雰囲気はどのようにして出しているのだろうか。自意識を昇華させると村上春樹っぽくなるんだろうか。
ともあれ、リミックス云々については感心した以外の感想がないんだけども、この人の書く文章のリズムとわりと無茶な展開というか、無茶なお話が、常人とは思えない発想が、すとんと俺の読みたい作家リストに古川日出男を入り込ませてくれた。ということで、びびってアラビアの夜の種族とかを買わなかった、というか、これとそれしかなかったんでこっちを選んだんだけども、そっち買っておけばよかったと思ったというか、わりと安心して読めそうな作家さんであるなと感じた。あーでもやっぱ舞城っぽい感じもするなあ。所々の言い回しとか。いい意味で舞城っぽい。いい意味でって書いておけば何書いても最終的にはいい意味になるって、中学二年生の二学期に隣の席に座っていた女の子が言っていました。