■ [雑文]すっぽかす
誰かと会う約束をしたり待ち合わせをしたりということはよくあることですけども、その時間を忘れてしまうとか、約束自体が忘却の彼方へ行ってしまうということはあんまり無い。そういうこともたまにはあるけれども、頻繁にはないわけです。
しかしその類の忘れたという感覚は理解できるのだけれども、確実に覚えているのに行かない、もしくは思い出したけれども今更行けないということがある。さすがにいい年になってからはそういうことはなくなったというか、携帯電話を所有してからはあんまりそういうことがないというか連絡の取りようはいくらでもあるので、完全にすっぽかすというのが成立しにくくなっているというかそんなもん成立しなくてもいいんですけれども、そのすっぽかす時の感覚というのはなんかほかではあんまり味わえないもんだよねなどということを思ったりするのです。
もう今出ないと絶対間に合わないけどすっぽかすから出ないと思うときや、もう相手はそこに来ているんだろうなと想像したり、時間になっても来ない自分のことをどう思っているのだろうかと想像したり、遅れてもやってくるのであろうと思いながら待ち続けている様を想像したり、待てど暮らせど来ないから帰る相手を想像したりと、ものすごい勢いで相手のことばかり考えるのがわりと楽しかったりする。いやしていた。
というかかなりリアルに相手のことを想像しているはずなんですけども、それは当然自分が待ちぼうけを食らわされたことがあるからであり、相手の心境というものがより理解出来るから罪悪感でいっぱいになって相手のことばかり考えてしまうんだろうな。
ともあれ、今はあんまりそういうこともない。それはもう携帯電話のおかげと言わざるを得ないわけであり、今では初対面の人とだってきちんと待ち合わせることが出来る。携帯電話以前はどのようにして待ち合わせをしていたのかということが全く思い出せないのだけど、待ち合わせはしていたよなあ。どうやってたんだろ。バラの花とか持ってたんだっけ。というかなんの話だったか。まあいい。