2011-02-09

[]血涙の話

楊家将の続き。楊業は死に楊家軍は壊滅状態に陥ったが、生き残った六郎と七郎は宋に反感を抱きつつも楊家軍を再興するために働き続ける。楊業を倒した耶律休哥は石幻果なる武将を拾い手元で育てるのだがその石幻果は…という感じで話は進んでいくのだけど、まあ正直六郎も七郎もすごいんだけど楊業に比べると格が下がるというか、とにかく耶律休哥に翻弄されまくるわけですけども、その耶律休哥ですらかなわなかった楊業という存在が大きすぎてやはり残されたものという認識が強くてどうもなあ。

とりあえず北方補正がかかって楊家軍はどんどん強くなっていくんだけど、北方謙三は耶律休哥のことが好きになりすぎたので、耶律休哥がどんどんどんどん強くなってしまうので、楊家軍が追いつけないのよな。石幻果も相当強くなるし。そしてだんだんその二つの軍だけが突出していってしまって、特殊な軍になってしまうという。ああそうか。読み終わった直後は最終決戦はちと強引すぎやしないかと思ってたんだが、行き過ぎた力を持て余してしまう両軍という話なのか。まああそこで耶律休哥軍はまだしも楊家軍がそのまま維持できてしまうと、余計につらい思いをしてしまうような気もする。

というか、全体通して楊業が無敵状態の時と耶律休哥がその域に達したときというのが読んでいてかなり爽快だったので、負けない北方小説を読みたい欲が出てきてしまったのでなんでそんなこと思うのか考えてみたら、大体北方小説って最後負ける。中二みたいな言い回しになるけどこう、滅びの美学みたいなのがあるんだな。これだけすごくてかっこいい男の中の男も死ぬるっつうか、男の中の男だからこそ死にゆくといいますか。

しかし遼に楊業が入ったらというのは前回思ったけど、宋の総指揮を楊業が取っていたらどうなっていたのだろうとか、とにかく楊業ってすげえとしか思っていないので、やはりこの話の主役は楊業になっている俺の中で。その次にくるのが耶律休哥であり、あとは石幻果とか六郎とかがいるっつう感じで。血涙だって十分面白いけど、楊業が出ないから残念です。いやどんな感想だ。しかしこの終わり方はすごくよかった。これ以上はない。これで心置きなく水滸伝読める。

血涙(上) 新楊家将(ようかしょう) (PHP文芸文庫)

血涙(上) 新楊家将(ようかしょう) (PHP文芸文庫)

血涙(下) 新楊家将(ようかしょう) (PHP文芸文庫)

血涙(下) 新楊家将(ようかしょう) (PHP文芸文庫)