2008-09-01

[]「水滸伝 3」 北方謙三

相変わらず面白いけど、独特の後味の悪さが残りますな。妙な読後感つうか。いやなんつうか色々とあったような気がするけど三巻ラストの宋江と宋清のあれが妙に頭にこびりついてなんか駄目だな。物語としては全然ありだと思うんだけど、いささか唐突というか、やっぱちょっと身勝手なんじゃねえの宋江さんと思うわけでありますが、大事の前の小事ってやつなんでしょうね。

とりあえず楊志の吹毛剣辺りのくだりとか、武松やら史進が王進ゼミナールでパワーアップするあたりは非常に面白かったです。にしても王進システムはわりと便利ですよね。ちょっと不調になったら王進さんの所へ連れて行ってメンテナンスしてもらうっつうか。出てくる頃には人間としてある程度完成しているという。

んでいよいよこの巻からわりと本格的に官軍側視点も出てくるのだけども、基本的に官軍側もこの国は腐っていると思っている人が多いわけで、だったらもうみんなが腐ってると思っているわけなので、本格的にこの国は駄目だ…って思って一回打ち壊そうとしているのが梁山泊で現行の国の中で変えていこうとしているのが官軍内腐り派と大まかに分けるとこんな感じなんですかね。つうかみんな駄目だと思ってたらよくなりそうなものですけどもね。そういうもんでもない。あとはまあ三国志でもそうだったけどどこに重きを置くかでも違ってくるんだろうね立場的に。

ともあれ今のところカリスマっぽい人があんまり出てこないのがちょい辛い。三国志のカリスマ大集合みたいな感じにはならんのかなあ。一人一人への掘り下げ方は結構深いんですけどもねえ。晁蓋宋江もなあ。いいんだけどなあ。

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)