■ [読書]「三国志 4」 北方謙三
劉備の曹操への反乱、官渡の戦い、関羽千里行、孫策のあれとか三国志好きには印象深いエピソード満載の巻ではあるんですけども、関羽とか孫策に関してはわりとあっさり済ましてしまうんだなあという感じである。関羽も顔良斬ったらさっさとどっか行っちゃうし文醜の立場がないというか。顔良と文醜って官渡で関羽に斬られるためだけに出てくる人たちだと思ったので驚いた。しかし顔良と文醜ってすごい名前ですよな。顔良だけでも文醜だけでもそんなに違和感ないけど顔良と文醜って出てくるとなんか月とすっぽん的なそういうものを想像してしまう。
官渡の戦いはほぼ一巻使っているのでじっくり書いてて面白いし、完全に不利であった曹操がいかにして袁紹に立ち向かっていくかというのを読んでいて色々納得させられたりするんですけど、この人の戦争描写って本当に肝心要の所を書かなかったりするというか、ここまで書けば解るだろうみたいな感じで投げられるので三国志の大まかな流れを知らないと戸惑うような気もする。まあそういうところだけ丁寧でも戸惑うけど。
劉備に関してはこの劉備が恐ろしくもなんか納得のできる人物設定なのでわりと魅力的というか、劉備パートになると結構楽しい。演義なんかでは大義だとか徳がどうのとかで確かに人間としては魅力的なんかもしれないけど、自分を汚したくないだけの人にも見えて、それでいてなんだか出世していくっつう、なんか自分が年を取るにつれて納得がいかないキャラになってたんだけども、この劉備は大義はあるけど癇癪持ちっていうかわりと欠点の多い人になってるんでなんかそこがかえって魅力的に映っているのかしらと思う。
孫策はもうちょっとこう…でも一気に燃え上がるキャラなのでこれでもいいんだろうか。にしても見せ場がなあ。それはそれとしてこの小説はわりとオリジナルキャラが活躍するので油断できない。そういう活躍を見て名前が頭に刻まれそうになると「ああやばいこいつはオリキャラオリキャラ」って思って普通に三国志に出てくる人として憶えないように気をつけて読んでいるのでありました。王安とか好きになったらいけないと思いつつ結構好きになってるのでちょっと困ってる。あと馬飼いの人たちとか。みんな格好良すぎ。