■ [読書]「猛スピードで母は」 長嶋有
なんとなくタイトルだけは強烈に印象に残っていてなんとなく読んでみたらなんとなく面白かった。具体的にどう面白いのかというのを説明するのはなんだか難しい感じの小説ではありましたが、なんかぼんやりと文学的なものを読みたいなあと思ったときなどに読むのがしっくり来る感じでありました。文学というかブンガクというか。
あらすじ。表題作の方は小学生の視点でこれから結婚するかもしれない母親と自分の暮らしっぷりをなんかこう一歩引いた感じで描写していく感じで、もう一個のサイドカーに犬というのはこれまた子供視点から母親のいなくなった家庭に突然やってきた女性との暮らしをまた引いたところから描いている感じであった。
内容自体に強烈な何かがあるようには感じられないのだけど、この人の小説はタイトルがわりと素晴らしい。よく解らないけどなんか面白そうな感じを醸し出すのがうまいというか。内容自体も面白いんですけど。基本的に子供目線なのでなんとなく懐かしい時代の話であるような気がするのだけど、実際に自分の幼少期と重なるところなんてまるでないわけで、あくまでも擬似的な懐かしさなんだけどもなんかそういう感情ってあったよなあとか思わされる小説。もうすこし違った形の小説も読んでみたい。