■ [読書]「山ん中の獅見朋成雄」 舞城王太郎
なんか読み始めてから読み終わるまでにやたらと時間を要してしまった。舞城王太郎の文体は馴染んだときは一気に駆け抜けるように読むことが出来るんですが、はまらないと全然スピードが出ないんですよなあ。これは序盤で妙に時間がかかって中盤からはかっちりはまってすぐ読み終わった。
あらすじは馬のようにたてがみが生えた少年、獅見朋成雄が足が異常に速いから将来的にはオリンピックとかそういう話もあったのにそういうのを棒に振って山のなかでおっさんに書を習ったりしていたらおっさんが大怪我して、馬に出会って云々とかそんな感じです。わけわからんね。
ともかくこの人の本は読み終わったときになんだかよくわからないけどすごい物語を読んだという気分にさせられるという感じで、この本もそんな感じだった。特にその傾向が強かったかも知らん。なんだかよくわからないけど読み終わった瞬間に自分の立ち位置が変わったかのような錯覚を覚える感じというか。もちろん錯覚なのですぐに元に戻るんだけど。
んで相変わらず本当に書きたいことであるとか、この物語で伝えたいことみたいなのがすんごい奥の方にあるなあという感じもした。いや実際にそういう概念があったとしての話だけども。本当に書きたいことの上にどんどん藁かなんか被せていって一山出来たところにコンクリかなんか流して固めてその上になんか厚塗りのペイントしてるようなそんな感じ。わけわからんな。この小説はなんだろう、俺は人の生きる意味みたいなものを読み取った。
とりあえずは面白かったんだけども、人によっては引くような描写があるのでいろんな人にはお勧めできない感じでもある。俺自身引くような感じだけども、この人の書き方だとそんなに抵抗がない感じだったんでやっぱりこの人の文体はしっくり来る部分があるんだなと思った。あと擬音のセンスがすげえ。