2007-02-08

[]「三屋清左衛門残日録」 藤沢周平

それなりに出世をして隠居した老武士が隠居したらさぞかし自由を満喫できるのだろうと思っていたら、実際はものすごい寂寥感に襲われるようななにもない日々が待っていたので日記をつけることにしたり道場稽古に精を出したり学問をしたり釣りをしたりする本です。旧交を温めたりちょっとした色恋沙汰もあったりもする。

この間読んだ「蝉しぐれ」もそうでしたが、主人公が持つ平熱感とでもいいましょうか、感情の振り幅が少なくとも外から見ると少なめな感じに抑えられている感じで非常に好感が持てる。基本的にはいつでも冷静でおられるわけですが、そんななかで色んなことを考えている主人公というのが格好よろしいのですよな。そして今のところ共通して徹底的に主人公の半径五メートルくらいで起こったことやら見聞きしたことしか書かないというところも、ちょっとした感情移入をさせる仕組みになっているのかななんてことを思ったりもした。

個人的にものすごく隠居というものに憧れている自分としては、隠居してますます盛んというか望む望まないはさておいて色々なことに巻き込まれつつも、昔取った杵柄というやつでそれほど面倒なことにもせず、表だっては動けないような事件を隠居の身軽さで解決していくという主人公にはあまり共感は出来ない。俺の想像する隠居はもっとこうなんというか晴耕雨読とでもいう感じの地味さがあるものだと思うのだけど、この人の場合は老境の哀しみみたいなのはあるけれども、わりと色んなことがあるので退屈してないのである。

っていや、そういう隠居の姿勢云々みたいなことが言いたいのではないのだった。しかし江戸時代においては十分老人と呼ばれるような年齢でありつつも、内面的に変わっていく部分というのがあるというのが、この小説の主題ではないのだろうけども描かれていて非常に興味深い小説でした。しかし藤沢周平の小説に出てくる主人公たちは強いな。まだ二冊しか読んでいないけどそう思う。

そして派閥やらなんやらのギスギスしたことを書かせたらこの人の右に出る人はちょっといないんじゃないかというくらいギスギスしてて面白い。江戸時代の藩のありようというものについてはちょっと疎いのでこの人の本は結構勉強になったりしています。

三屋清左衛門残日録 (文春文庫)

三屋清左衛門残日録 (文春文庫)

[]スペア日記

先日ボウリングにいった際に9連続スペアを出したのだけど、そこまで行くとなんで10連続じゃないのかとか、なんでストライクが出ないのかとかそういう方向での疑問がわいてくるものであり、出ないものは出ないという話になってしまうわけである。スペアだけに。スペアだけに…なんなんだ!なんだ!なにがスペアだ!なんでスペアだ!「なになにだけに」って言ったら何かとかけてると思ったら大間違いなんだぜ。思いつかなかっただけという話でもあるぜ。

[]そこに意味はあるのかい

料理番組などを見ているとたまにハート型の鍋というのが出てきますが、どう考えても扱いにくいというか丸い方がよくないか…という感じで毎回律儀に必ずちょっとイラッとしてしまう癖がありますのでなんとかハート型になっていることに対する意味というものを無理矢理考えていきたいけど考えたくない。

[]褒めてるって

職場の人の娘さんに対して「村主章枝さんに似ていますね」と言ったら怪訝な顔をされたので悲しくなった。