2006-04-20

[]「シグルイ 6」 山口貴由 南條範夫

いいの?シグルイのこと書いてもいいんですか解禁なんですか。ネタバレとかに配慮しなくてよいのでしょうか。よいのですよね。善き哉善き哉。でもなあ書いていいということになっても何から書いていいやら…。とりあえずこの巻が最終巻であっても誰も文句は言うまいという感じである。読み終わったこの疲労感はなんなんだ。とりあえずあれじゃないっすか、シグルイ第一部完ですよ。うん。続くけど。あと作者欄に南條範夫先生の名前を入れるのはもうなんかどうかと思いますよ最近。

まずなにはなくとも岩本虎眼vs伊良子清玄です。もうあれだ今世紀最大の決戦とか言っちゃってもいいんじゃねえの。その前に藤木源之助の弾丸鍔受け付近の無駄な格好良さもありましたけれども。日本刀射出のあれはアニメだったらシュピーン!とか効果音付くな多分。というかもうこれを読んだのはもうかれこれ半年以上も前のことなのか…。これを読んでいたときには、いよいよ…とは思っていたもののここまでに至るとは。

とりあえず虎眼先生のモード移行が素晴らしい。曖昧虎眼(デフォルト)、正気虎眼、魔神虎眼である。ちょっとしたアシュラマンである。あ、いやその他にも憤怒虎眼、猫科虎眼、へつらい虎眼、若虎眼など色んな形態があるので、アシュラマンというよりフリーザに近いものがあるかもしれぬ。最終的に虎眼がなったものはなんだったんだ。アシュラであればリボーンアイオブザタイガーに期待がもてるのだが。しかしなんというか、続けて読むとこの対決の異常さがクローズアップされる感じである。何故に途中で藤木の流れ星開眼エピソードが挟まれるのか。佳境ですよ。正直言って関係ない。関係ないのになんであんなに盛り上がるのか。伊良子だけのエピソードじゃあそこまでは盛り上がるまい。

しかし「もし開かんと欲すれば まずは 蓋をすべし!」って名言ですよね。その前の「もし奪わんと欲すれば~」からの流れは描いていて狂ったように筆が進んだのではないだろうか。そういう勢いだけで書かれた感じが見て取れる。だって関係ねえし。あ、もしかしてこのエピソードそのものが蓋…開くための蓋か…。

とにかく虎眼先生の死というものは原作読んでいようが読んでいまいが皆さん大体知っていることであり、そればっかりは曲げようのない既定事項であるのにここまでのインパクトを残そうとは誰が思ったであろう。否、誰も思うまい。予想をはるかに超えすぎて最初に読んだときにはなんともいえずよく解らない感覚だけが残ってしまったくらいである。とりあえず若先生の内臓描きたい欲求というのは本当に凄まじいものがあるわけですね。

でもねえ月刊で追いかけてきた人間からすると、もしかして…と思わされたんですよ。もしかして虎眼先生勝っちゃうんじゃないのって。絶対に死ななければいけないのに死ねないんじゃないのって。それはやっぱり山口先生の持つ力なんだろうなあ。普通結果解ってたらこんなにドキドキしない。というか、もうすでに1回というか何回も読んでたのに今回読んでたら魔神モード辺りで虎眼先生勝っちゃうんじゃないの…と思ったもの。

しかしここまで作り上げたキャラクターというものはここまでしないといけないんですよね。自分の蒔いた種は自分で刈り取らねばって事だ。だってこんなキャラクター作っちゃったんだもの。若先生は立派に責任を果たしたと思います。というか誰がどう考えてもシグルイの柱は岩本虎眼であったわけであり、このあとのシグルイは果たしてどうなっていくのか。そこが心配ではある。

心配は色んな意味で心配なんすけども、虎眼先生亡き後も藤木源之助、岩本三重の二人が明らかにあたまおかしいというか、もうなんというか気違いにメタモルフォーゼし始めているので、今後とも目を離せない感じではあるような気もする。わりと変態だと思っていた伊良子といくはなんだかんだいっても常識ある感じだからなあ。きちんと段階踏もうとするし。狂っちゃあいるけどなんとか理解できる範疇。何もかもをなくした藤木と三重の暴走に期待していきたい。もしくは一人虎眼流として濃尾無双を名乗り無双許し虎参りをする藤木源之助なども見たい。人の道場で延々「練り」を披露。

しかしやっぱこの巻は最高に面白すぎる。「師匠!」「ここは拙者らが」の所を読むと何度読んでも死にそうになるよ。本当に。狂ってる。どんだけの全力スプラッタギャグなんだ。たぶん若先生は南條範夫先生の残酷時代小説における残酷部分のみを歪んだ形で受け取ってしまったんだと思われる。あとどうでもいいけど若先生は結構九郎右衛門の事が好きですよね。なんか関係ないのに結構出てきてるような気がする。あと最終的には虎眼先生は増殖してゆくのではないか…と思った。ヒトデみたいにあの屋根の上の虎眼ももう一人の虎眼に復元されるわけですよ。うどん玉虎眼もきっちり元通り。そして岩本虎眼vs岩本虎眼つうね。何言ってんだろうね俺は。

あと無明逆流れは極めると一回転してしまうことが判明しましたね。描くたびに進化を遂げている無明逆流れ。一回転してシュタッと着地。何処まで行くのか無明逆流れ。三回転四回転くらいまではいくんじゃないのか。回る回るイラコが回る。あとこの巻での虎眼vs伊良子をすげえ!と思った人は覚悟のススメにおける覚悟vs散様の一戦も読んだ方がいいと思います。負けず劣らずという感じですから。というかこの巻が最終巻でもいいと冒頭に書きましたが、なんとなくもうすぐ終わるんだなあという気分になっているものの、よく考えてみたら跛足イベントと左腕消失イベントがまだ残っているのだった。ようやっと半分くらい進んだのか。まだまだシグルイは終わらないぜ。正直もう終わって欲しいという気持ちもどこかにあるんだけども。しかし漫画読んでこんなに疲れたのは久々でありました。消耗した。

シグルイ 6 (チャンピオンREDコミックス)

シグルイ 6 (チャンピオンREDコミックス)

[]4年くらい前

テンションさえ高ければ面白い日記…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました