■ [漫画]「ジャイアント 1~9」 山田芳裕
度胸星のあとにこれでしたっけか。いや「うまずい」が入るんだったっけ。ちょこちょこ拾い読みはしてたんですけど、ちゃんと読んでなかったんで完結したのを知って読んでみたら面白い面白い。スポーツ漫画が上手いってのはデカスロン読んで知っていたつもりだったけれど、野球描いてもすごいなぁ。見開き四ページのバッティング描写には度肝を抜かれた。口が開いた。
メジャーリーグの話というか、半分くらいマイナーの話なんですけど、巨人の巨峰貢が米球界でのし上がっていく様をとんでもない描写で描いていく漫画という感じでしょうか。静止画というかスーパースローというか、ミルククラウン的な一瞬を描くのが本当に好きすぎるこの人は。硬球の縫い目が裂けて中身飛び出したりしてるし。打ってるのにバットがえらい形に裂けてるのとブーメランカーブの描写は凄すぎてちょっと笑ってしまった。というかもう笑うしかない。
しかし描写もさることながら、話作りも相変わらず上手いというか燃える展開を考えるのが上手いなぁ。ライバルが代替わりしていくのは本当によく考えてるなぁと思った。それぞれ全然タイプが違うし。主人公はいつも通りの直情型という感じなんですが、この人の描く主人公はどこまでも正しいのに不思議と嫌みがない。すっと感情移入させられてるし、キャラの背景を語るときもあっさりしすぎずしつこくなくという感じですんなり飲み込める。
ストーリーだけを追ってるとわりと王道の野球漫画的展開なんですけれども、山田芳裕の手にかかると野球はこんなに面白くなるんだ…という感じを受けた。リアリティに関してはよく解りませんけど。169キロの球投げるピッチャーとかいるし。でもラスト一巻付近の展開に関しては少し飲み込めない感じがした。なんであそこでああいう展開になるんだろう。急いで風呂敷たたんでる感じというか、前振りの段階であれだけ煽ってたんだからもっとじっくり描いてもよかったんじゃないかという気もするけど、これはこれでありといえばありか。デカスロンのラストみたいなのを期待するには巻数が足りないかもしれない。あれを見たときの鳥肌は本当に凄かった。しかしこれはこれで9巻で終わってしまったわりにはものすごい満足感を得ることが出来ました。傑作。命懸けより楽しいの方が上っていう話はひねくれてていいです。
傑作といえば度胸星も傑作だと思ってたんですけど、あれもう続き描かないんですかね。ものすごく好きだったんだけどなぁ。テセラックとか紐理論とか虎とか。読みたいけれど単行本すらあまり見かけない。
■ [映画]オースティン・パワーズを見た
デラックスとゴールドメンバーをビデオに録って続けて見ました。ありがとうテレビ東京。一作目は適当に見た記憶があったんですけどほとんど覚えてなかったので、改めて鑑賞してみたところ下ネタとか人種差別ギャグばっかりだったのでびっくりした。つーか予告でさんざん笑いどころ見せられてるのに実際映画の中で見ると笑ってしまうので敗北感でいっぱいになる。とりあえず柔道チョップとか柔道キックはずるい。
年代的なギャグはよく解らなかったですけど、80年代と90年代はつまらない何にもない年代って言ってたのが面白かった。80年代は何もなかったっていうのは当時死ぬほど聞いたけれども90年代も何もなかったことになっているのか。あと有名人のあれはオジー一家で相当驚いた。偽物かと思ったら本物だった。他のは全然驚かなかったけども。
しかし最終的に印象に残っているのはヘザー・グラハムだけであり、当時29才であったはずなのに異常なまでのかわいさであり、ビヨンセもまぁいいですけどヘザー・グラハムはちょっともうやばいっつう話で、ファット何とかとあれしたのが気持ち悪いっつう話でこのやろー。という感じでした。
あとなんというか、マイク・マイヤーズが一人で楽しんでるというか、吹き替えの山寺宏一さんのはしゃぎっぷりがすげえ。しかしこの映画を真に楽しむにはきっとアメリカ人かイギリス人にならないといけないんじゃないかと思いました。