2009-07-03

[]「水滸伝 18」 北方謙三

やっときたラス前。呼延灼が童貫に一泡吹かせる所から始まるといいますか、ここまで圧倒的すぎるほど圧倒的だった童貫にようやく痛烈な一撃を与えることが出来たと思ったら、童貫が今まで以上に強くなってしまったという。そりゃまあもちろん普通に禁軍の方が強いのは当たり前なんだけどそれにしたって強すぎるのよ童貫。まあここまでなんだかんだで順調だった梁山泊に対するラスボスとしてはこれくらいの力量がないと困るか。しかしまあ連環馬は強いね。兵器だあれは。

でまあ、やっぱり終盤、人がバシバシ死んでいきますけども、そんな中とうとう林冲が逝った。数々の死亡フラグを叩き折ってきた林冲のことだから今回もなんとかなるのかと思ったら、若干の余裕を残しつつ死んでしまった。やはり悲しい。解珍が死んだのも悲しかったし、秦明が死ぬのも悲しいけど、この余力を残した死は寂しいものがありますよな。しかし間に合わなかったと思った楊令がここでとんでもない武神クラスの力を発揮し始めているので、戦力的なロスは少ないように見えるから、そんなに喪失感がない。

楊令は人間が出来上がりすぎていて、正直面白味はそんなにないんだけど見てて安心感があるというか、終盤のここに来て死ぬことがないという未来が見えているというのは良いのか悪いのか、でもまあゆっくりゆっくり育ってきた未知の武将がいきなり最前線に飛び出してきて大暴れするというのは痛快ではありますよね。

とりあえず宋江が相変わらずあだ名付けるのが楽しそうなのと、呉用宋江の分まで嫌われようとしていることを知ったりしつつ、終わりの雰囲気を感じ取っているんですけども、まさか三回目の北京大名府占拠があるとは思わなかったです。どれだけ油断しとんすかという感じもありますが。生女真と熟女真とか字面に違和感を覚えるものも出てきたりしながら、この人らは楊令伝要員なんだろうなと推測出来る人らが出てきたりしつついよいよラストバトルですな。短いようで長かった。しかし寂しい。寂しいですよ。

水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)

水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)