2009-04-10

[]「水滸伝 14」 北方謙三

面白い。なんだか時間かけてゆっくり読んでたせいか、ちょっとだれた感じがあったような気がしないでもなかったのだけど、やはりこの水滸伝は異様に面白い。どこがどう面白いのかという点についてはまあ全巻読み終わってから考えるとして、ともかくまあなんかこの巻は扈三娘の話から始まって、恋愛あり、家族あり、友情あり、もちろん戦いありという感じで全然飽きなかったのよな。

つうか裴宣と孫二娘のまどろっこしいやりとりとかすごい好きです。みんななんか回りくどすぎる。基本的に水滸伝に出てくる人たちはみんな色恋関係が不得手といいますか、不器用な人らが多い感じがしますな。まあ志とかそういうのがあるので、そっちばかりが上手くてもしょうがないんだろうけど。まあそっち方面で面白いのは史進くらいのものでしょう。

張横の話とかも非常に面白かったんですけども、最終的に連れて行くところが王進先生のところなのか…と思ってなんかすこし寂しいというか、楊令が出てくるのはいいけど、自分の子供をそこに連れて行ってしまうのかというなんか変な感情が芽生えてしまった。あと武松と李逵は浮きすぎてる。

んで戦闘に関しては相変わらず魅せるというか読ませるというか、ここまで細かく書くかと思って読んでると、結構大雑把に描写を省いたりするんで、読んでいるうちについて行けなくなったりしそうなものなんだけども、これまた相変わらずさじ加減が絶妙なんですよな。書くべき所は書くし書かなくてもいいところは書かないという。もうなんか微妙に忘れかけてる人が活躍していても、思い入れ云々関係無しに盛り上がってしまう戦闘なのですよね。

あとまあ面白かったのは宋江の釣りとかありましたけども。だんだん宋江がただの釣り人になって行くような感じがして面白かった。釣りは面白いですよね。あと官軍の人らの人間関係も興味深い。この人は組織というものの弊害を書くときに本当にいきいきしてるような気がする。しかしあと五巻で終わるのかな本当にこれ。

水滸伝 14 爪牙の章  (集英社文庫 き 3-57)

水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)