2008-07-25

[]「正直じゃいけん町田康

町田康のエッセイ集。たまに町田康さんのわちゃわちゃした感じの文章を読むと落ち着く。わちゃわちゃつっても悪い意味じゃなくて、あの、例の、町田文体といいますかそういう感じの。しかし後半書評といいますか真面目な文章を書いているのを読むと、この人の文章は真面目な方向に行けば行くほど面白くなるのかもしれないなあなどと思うのですけどもどうなんでしょうね。

って不真面目な文章がつまらないっつう話ではなくて、むしろ逆にふざければふざけるほど面白いと思っていたのだけど、小説にしろエッセイにしろ真面目に書いた文章はきっちりこっちの胸になんかを残してくれる。というかこの人の立ち方は基本的に斜めであって、頭の中は至極常識的であるにも関わらず、それをそのまま出してくるのではなくて回りくどく出してくるわけですけども、ふざけることをあんまり許されない時にはそれなりに真面目に書いてこられるので、びっくりしてしまうというか、こちらの考える町田康とのギャップが結構あったりしてなんか真面目に聞いてしまうっつうか。

そうそう小説でも告白みたいにシリアスな話だと異様に胸に迫ってくるものがありましたしなあ。真面目な町田康はすごい。で、タイトルの正直じゃいけんというのが正直じゃ駄目だというような風にも読めると思っていたらあとがきでその件について触れられていたので、初っぱなの疑問が終わりで氷解してよかった。しかしなんだ、生きてるうちにこの人みたいな書評が書けるようになりたいものだわ。全く。

正直じゃいけん (ハルキ文庫)

正直じゃいけん (ハルキ文庫)