2008-05-27

[]「ブラッドハーレーの馬車」 沙村広明

なんといいますか久しぶりに嫌悪感みたいなものを漫画で味わったりしたわけですけども、だからといって何がどうというわけでもなく、ああ、沙村広明の漫画っすよね…という感じでは読めた。普通にグロ描写であるとか残酷描写においては無限の住人でもさんざやっているんで違和感はないっちゃないんですけど、今回はやってることとその対象がエグい。

あらすじとしましてはブラッドハーレー卿が孤児院から見目麗しい女の子を引き取って、歌劇団を作っているという話なんですけども、引き取られる人数と歌劇団に出てくる人数に差異があって、ほんでどっかの刑務所では暴動を防ぐために少女が差し出されていたっつう話ですよ。省略しすぎてる上にネタバレしてるんであれですけど。

お話的には荒唐無稽っぽいものも感じるっつうか、リアリティとかそういうのよりも希望と絶望の間で蠢く人っつうのを描いてんのかなあなどと思ったりしたわけですけども、やはり読んでいると結構辛い。しんどい。とくにその、沙村漫画でよく出てくる黒髪でショートカットの女の子がいたぶられているのを見たりするとより悲しい。しかしまあ下手に救いがあるより絶望感だけが残る方が物語としてはインパクトがあるとは思いますけども、それにしたって作者のサディストっぷりというか底意地の悪さみたいなのは随所に感じ取れて面白かったっす。んでもまあこの感じのお話がまた出ていてもちょっと読む気はしないというか、この一冊で結構お腹いっぱいという感じもしますな。

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)