2008-04-03

[]「7月24日通り」 吉田修一

吉田修一がこんな感じの恋愛小説を書くこと自体が意外であった。という一点くらいしか書くことがないような気がする。わりとまっとうな感じの恋愛小説だった。ほんでなんか全体的にぽわぽわしてた。ずっと浮き足立っているというか。

あらすじはわりと地味なOLさんが自分の住んでる町をポルトガルリスボンになぞらえて一人遊びをするのが趣味ってこれまたちょっと地味な感じなんすけど、格好いい弟がいたり、なんか気になる上司がいたり、同窓会で片思いの先輩に会ったり、町で偶然出会った青年といい雰囲気になったりってあらすじでだいぶん先まで行ってしまったけど、あんまり地味じゃないねえ。こうして書き出してみると印象が違いすぎる。

お話としてはあんまりインパクトはない感じなんですけども、最初に書いたようにこれが吉田修一のお話ってのが違和感ありまくりで、たぶんまあ普通の恋愛小説を書いてみようって感じで書かれてるんだとは思うんですけども、なんかこう酷いことになったりするんじゃないかという感じがずっとあって、でもまあ平凡で、しかし恋愛的には色々あるんだけど別に…ねえ…って感じで感情移入するまでには至らなかったりして、ほんでなんか入り込めないうちに終わってしまったなあという読後感。

女性視点っつうのがこの人の小説だと珍しいのかもしれない。というかこの人って結構多作の人だったんですね。たまたまかもしれないけど、本屋行くたびに新しいのが文庫落ちしてるような気がする。とりあえずこの小説に関しては映画の宣伝という予備知識があったのであの面白そうな雰囲気だけ期待して読んだのでわりと見当違いだったんかもしれないっす。普通に読めばきっと普通に面白い。

7月24日通り (新潮文庫)

7月24日通り (新潮文庫)