■ [読書]「三国志 1」 北方謙三
満を持してという感じでようやく読み始めた北方三国志。なんとなく面白いんだろうなあという感覚はあったものの、やっぱり自分の中の吉川三国志やら横山三国志を大事にしていきたいというか、演義の三国志が好きというのがあったのでなかなか手を出せずにいたら、蒼天航路の面白さつうか、他の視点で見る三国志の面白さに気がついてしまったので読んだ。でもでも北方謙三のイメージがソープに行け止まりであったので読むまでに時間はかかりましたが。
北方三国志の面白さは人物描写にあるといわれているのを結構見かけましたがまさしくその通りという感じで、登場人物に心情を語らせることによって、今までは推測するしかなかった部分というのを、わりと説得力のある感じで描いている。視点がころころ変わるっつうのは歴史小説としてはわりと珍しい感じなのかなと思うのだけど、そこら辺にあまり詳しくはないので解らない。
その他の魅力としては細かい部分での描写がうまいというのが。うまいというか若干クドいくらいの用兵やら戦闘の描写が読んでいて面白い。毎度目からウロコが落ちるというか、漠然と読んでいたけれど戦争ってそういうものよねというのを理解させられるっつうか。そして最大の特徴としては劉備のハードボイルドさでしょうか。賄賂役人との絡みでは爆笑した。真面目に書いてあるのになんのギャグかというくらい笑った。基本的にいい人である劉備をこういうキャラにするとは。しかしこれはこれで説得力があるのであった。関羽と張飛が支えてこその劉備の人徳っていう。とりあえずこの中に出てくる武将が大体全員格好良すぎる。袁術すらちょっとかっこいいもの。呂布もただのバカではない感じですし、なんといっても孫堅がいいなこの巻は。全十三巻大事に読んでいきたい。
■ [漫画]「シグルイ 9」 山口貴由
世界三大牛の化け物としてキン肉マンにおけるバッファローマン、ベルセルクにおけるゾッド、そしてシグルイにおける牛股権左衛門を挙げたいと思いました。岩本虎眼先生亡き今、もはや俺の中のシグルイに対する興味も半減…いや消え失せたのか…と思ったりもしたわけですけども、新たなる化け物が登場したことによりシグルイインパクトは残った。臓物クラッシュと言い替えてもいいかもしれぬ。
が、虎眼先生ならばもっとスマートに全てを臓物まみれにしたことであろうと思うと牛股にはちょっとがっかりしたといわざるを得ない。しかし最終的に行き着いたところが「曖昧牛股」であるところは非常に興味深い。いわゆる「無の境地」というものの虎眼流的解釈があの曖昧であるのかもしれない。恐ろしいですね虎眼流。
というかこの二人のこのインパクトを超えてなおかつこの仇討ちでの伊良子vs藤木を超えるものを最終的に若先生は描くことができるのであろうか。もはや今のところ興味はそこにしかいかない。ほんで牛股が虎眼流を継げない理由が原作と違って酷いものだったのでちょっと泣いた。あ、あと藤木の腕。取れましたね。忘れてた。