■ [漫画]「へうげもの 4」 山田芳裕
不満だ。とても不満だがすんごい面白いのです。戦国時代、安土桃山時代を数寄の観点から描き続けるという執念みたいなのはすげえと思うし、今までに見たことのない戦国絵巻という感じで非常に楽しいのだけど、色々と省略しすぎなのである。だってたったの一巻で光秀死亡から朝鮮出兵のさわりまでやってしまっているのでなあ。
俺は山田芳裕の描く賤ヶ岳とか小牧長久手とかそういうのをじっくりと読みたかったんです。だから。数寄視点的に面白くない部分というか古田織部が関わらない部分というのをあんまり描きたくないというのがあったのかもしれないですけど、この人の描くその他色々のキャラが見たかった。現時点でも面白いんだけど。こういう描き方でも十分面白いのだけど。だけど不満なのだ。
光秀の最期を看取ったのがあの人であるとか、あくまでも信長を殺したのが秀吉であるとか、千宗易が数寄を利用しながら政治に深く関わっていくところとか、秀吉がある意味での傀儡であるとか、そこから逃れるために朝鮮に出兵するであるとか、数寄の使い方次第では千利休方面にも進めるはずの古田織部があくまでも数寄の天下を目指すであるとか、山田芳裕視点での戦国時代というのはすごく興味深いものになってるんだけどなあ。
ともあれ長い話になりそうだと思ってたんだけど、結構コンパクトにまとまりつつあるんではないだろうかなどということを感じた。あと相変わらずというか一枚絵で魅せるという技法に関してはちょっともうすごいことになりつつありますな。うん。この巻は荒木村重が素晴らしかったです。