■ [読書]「悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷」 森達也
なんとなくプロレス者としては読んでおかないといけないんだろうなあと思いつつ後回しにしていたんだけど、とりあえずはまあ読んでみてよかったです。グレート東郷という一人のプロレスラーを主軸に据えたドキュメントというか、グレート東郷は故人なので周辺を取材していって、リングの中でも外でもヒールであったとか、守銭奴であったとか、出自のこととかそういうことに関する俗説を明らかにしていくというか検証していくような本。
この作者がプロレスが好きであるということが伝わってくる文章なので、色んなことが興味深く読めましたけれども、グレート東郷という個人よりも当時のプロレスと今のプロレスを取り巻く環境の違いみたいなことを読み取ってたら結構面白かった。もちろんグレート東郷に関して書いていることも面白いんだけども、正直何人であろうが関係ないというか興味ないと思ってしまうような人間なので、純粋に昔のプロレス話として読みたかった。
だけどもまあナショナリズムだとかそういうこの作者の主観がもりもり入ってくるので、そういった部分にも興味を持たざるを得ない感じになっていたのだけど、最終的にああいう感じになったのはさすがに題材がプロレスだなという感じでありちょっと出来すぎといえば出来すぎだけど、ものすごく個人的には納得のいく感じだった。いいんですそういうのはあやふやで。しかしこの人は観察者としては一流ではないような気がする。そこがいいような気もするんだけど。
単純なプロレス本としても面白い。ある程度プロレスというものに興味がある人ならば確実に面白く読める。でもその裏に触れていく感じというか、部外者が土足で踏み込んでいく感じにちょっとした違和感を感じたりもした。多分読んでいる間中そういう違和感はあった。しかしそういう違和感込みで面白かったです。個人的にはロックアップの話云々が興味深かった。
あとがきのグレート東郷の取材をするためにグレート草津に会いに行くために新幹線に乗ったらグレート小鹿に会って、この偶然グレートは…みたいな事を書いていたのだけど、だったらもうグレートムタとかグレートカブキだとかグレートサスケなどにも会わないとグレートではないよねと思った。そういえば昔グレーテスト18というというベルトがありましたけど、あれは18人のグレートが認定したベルトなんじゃないかと思ったら一人のグレートもいませんでした。なんという締めだ。
悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982))
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/11/18
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■ [プロレス]テイオーさん
大日大戦鑑賞。屋外でのノーロープ有刺鉄線ファイヤーデスマッチをやっていた。こういうの地上波で流していいんだなあ。とりあえずテレビで見てると視点がばらけるので今ひとつですね。外人が黒天使の頭に紙をくっつけて燃やそうとしてるのに全然燃えなかったり、アブドーラ小林がやたらにでかいライターを持っていたりしたのがわりと面白かったです。ファイアーデスマッチは火の扱いがなかなか難しいところありますよね。でもこれだけのことをやっていても蛍光灯に比べたら楽してるように見えるのでまずいですよね…。
あーあとMEN'Sテイオーの女ネタが理解できなくてちょっと悔しい。前から言ってるよね。