■ [漫画]「へうげもの 3」 山田芳裕
相変わらず…というか、読み終わって前巻までの不思議な高揚感が無くなってしまったのは…。戦国ものの物語を書く際には必ず通らなければならない歴史イベントというものがあるわけですな。架空戦記でもない限りは。んで自分なりの解釈で細かいところをねじ曲げていくのが伝奇であり、やっぱこれは伝奇漫画であったわけでありますが、数寄者というのをメインに据えたこの漫画で最も格好いい人間の死というのはねえ、思ってたより漫画そのものの勢いというか流れが変わってしまったというか。
面白いですよ。確かに。でも序盤にあれだけ人の心を鷲掴みしておいてこれかと思わざるを得ないというか、序盤のインパクトが強すぎたのだろうな。何でか知りませんけれども、あれだけ胆力があるというか度胸があると思っていた古田左介がどうひいき目に見ても矮小な存在にしか見えなくて困った。行くところまで行くのならば織田長益の所まで行ってしまえよと思うのだけどもそれじゃ話が成り立たないのだな。
この話でというかこの巻で大いに納得のいったところは、得体の知れない正義よりも、ある程度私利私欲が見え隠れしている方に人はなびくという秀吉の思考であり、正しいから勝つとかそういうのじゃなくて、勝った方が正しいというこの辺りの価値観に妙に感心させられるところがあった。ただ徳川家康がただの人格者として描かれているのはどうかとは思うのだけど。こういう家康もありか。というかこれがまともな家康なのかもしかして。
伝奇というか歴史物で一番の肝は描くべき所とそうではないところのメリハリをきっちりつけるところだと思っているので、この本能寺の変辺りが古田左介を描くというところではかなり重要なポイントなのだろうなとは思う。どういう思考回路でもって何を諦めるのか。それとは別に明らかに信長を弔う不思議な旗を翻しの所では笑ったけど。この漫画の面白いところの一つはやはり伝奇プラス山田芳裕なのだなと思わされるシーンだと思った。
■ [プロレス]馳さん
全日本プロレス両国大会ですよ。ありがとうテレビ東京。アナウンサーと渕正信の掛け合いが懐かしくも腹立たしい。
グレート・ムタvsTAJIRIはすっげえカードだな…。あとムタのオーバーマスクというかオーバーボディがダイの大冒険に出てくるキルバーンに酷似していたので何事かと思った。というかスキンヘッド以降のムタのデザインはどのようにして頭頂部の寂しさをごまかしていくかというのがテーマだったような気がしますけど、今回の扮装はよかったと思います。ちょっと昔のムタに戻りつつある感じがして。しかしシャイニングといいムーンサルトといい膝ばっかり使って大丈夫なんすかね。TAJIRIはあんまり見せ場は無かったけど試合が見られただけでよかった。あと顔芸が素晴らしいのよねTAJIRIは。
世界ジュニアのレベルの高さはなかなかというか、新日見たあとにこの盛り上がり見せられるとビックリするわけですけれども、リングサイドで試合を見つめるスタン・ハンセンの気持ちというのはどんなもんなんでしょうね。
三冠戦はどうなんだろうケアはと思ってたらやるなあマウナケア・モスマン。川田が上手いというのももちろんあるだろうけど。波乗りスープレックスは思ってたよりえぐたらしい技だったので驚いた。でもダイジェストだったのでビックリですぜ。
馳の引退試合は結構感慨深い。今ではこんなおっさんになってしまったけど、俺が一番最初に好きになったレスラーは馳浩だったですもん。ハッだかヘァだか変な声出してノーザンライトしてジャイアントスイングしたりしてなあ。一番最初にマスターしたプロレス技は裏投げでした。まだ引退する人間の体ではないなあ。もったいない。試合は森前総理大臣アングルが面白すぎた。なにやっとんすか。でも馳の45回転ジャイアントスイングはちょっと泣きそうになったな。あと俺の中ではハセケンの印象も強いけど武藤とのタッグの方が記憶に残っていたんでそれもちょっと見たかったわ。というかテレビ東京は復活させようよ全日本の中継。面白いよ。