■ [読書]「日曜日たち」 吉田修一
久々にこの人の本を読んだけど、相変わらず普通に楽しめる小説を書く作家さんだなという感想。一つの共通の事柄を含んだ連作短編集というか、短編五つのお話であり、それぞれが連なっている必要性というのはあまり感じられなかったものの、それぞれがそれなりに面白かった。
というかこの人の本領はブルーカラーのリアルな描写と、なし崩し的にどうにもならない状況を作る事と、あとはだらしないっちゃだらしないのだけどかえってそれが現実的な感じの心理描写にあると思っているので、この短編集は面白かったです。なんだか登場人物すべてが微妙な距離感を保って生きているかのような、そんな錯覚みたいなのを感じた。普通に距離を取って生きているというより、壁を作ってるような感じでなおかつ寂しがり屋っていう。みんなそんなもんだろうけど、なんかこの人の文体でそういうことを書かれると異様に生々しい。
全体的に読み終わってからしばらくしてじわじわ来るものがあるので面白い本なんだと思いますよ。たぶん。