2006-02-21

[]「花と火の帝 上」 隆慶一郎

隆慶一郎先生絶筆の一作。途中で終わるということが解っていて読むのは切ない感じですが、読んでみるとやっぱり面白いのでまた切なくなる。上巻では天皇の隠密というものが主役であり禁裏の呪術対徳川家といった感じの展開になっている。

今まで読んだ本でもさんざん超人の類は出てきましたが、呪術の概念が出てきたというか忍者小説という感じなのだけどさらにやりすぎているというか主人公が無敵すぎる。いつものことですが。読む前は後水尾天皇が主役だと思っていたのですが、そんなこともない感じで岩介という多分架空のキャラが超強い。鬼っ子というか鬼です。隆小説で人を超越した存在が出てくること自体、非常に希なことであると思うのだけど、本気出して何でもありの伝奇小説書くとこんな感じになってしまうんだ…というあきれ半分で読んでいるんですがそれでも相変わらず面白いんですげえ筆力であると思わざるを得ない感じです。

というか、あきらかに他の小説で使っていたエピソードをまるっきり違う解釈でいけしゃあしゃあと書いている時点で両方読んでる人間としては笑うしかないというか、とりあえず隆先生的には本当はどうだったのかということなんざ些細な問題なのであろうなあと。面白ければいいじゃんというか、今の俺の気持ち的にはこういう解釈をしたいって感じというか、ああ、あの話はこっちではこういう感じで使えるなあ…と思ってしまったから書いた感じである。

あと果心居士が出てきたのもちょっと驚きだった。というかギリギリの線でリアルな小説を書いていたあの感じのままでありえないことをぽんぽん当たり前のように書いてのける隆先生の思考回路に俺はもうやられてしまって駄目だ。また敵としてみた徳川幕府というのもちょっと新鮮で良かった。しかしこの家康はどっちの家康なんでしょうね。そんでまぁあんまり頻繁には出てこないけれども相変わらず秀忠と宗矩コンビはさんざんな感じで面白すぎる。なんかもう定番の悪役という感じで出てくるだけでちょっともうオチてる。いわゆる出オチだ。

まだ途中なんでなんとも言えないですが、もしかすると隆先生流の山田風太郎へのアプローチというか、俺も意外とそういうの書けちゃうよという意識があって書かれた小説なんではないかというような気がしている。解らないけれど。最近やばいと思った伝奇小説家である荒山徹に比べても遜色ない感じで無茶苦茶です。異色作という感じ。でも読んでるときは意外と普通の隆小説であるのが不思議なところだ。

あと天皇絡みの話になると丁寧語になるのだけれど、地の文が結構読みにくいというかクドい感じがちょっとしたのが良かった。あくまでもそこの丁寧語の部分はこだわるのか…という感じで。

花と火の帝(上) (講談社文庫)

花と火の帝(上) (講談社文庫)

[]ウインドウズショッピング

amazonでショッピングカートに商品を好きなだけ入れるだけ入れて買わないというのを趣味とする人間はどうか。

[]ごめんなさい

轟轟戦隊ボウケンジャーのことをボウボウ戦隊ボウケンジャーだと思っていたのでごめんなさい。冒冒グラフみたいだなあ…とか思っててごめんなさい。スコップとツルハシ持ってるからドカチンみたいだなあとか思ってごめんなさい。