2008-11-11

[]「水滸伝 10」 北方謙三

ついに二桁きた。この巻でようやくハイパー将軍である呼延灼将軍が登場する。長かった。序盤から名前だけは頻繁に出ていたのに。ようやく、いや前の巻で登場してたんだっけ。いやまあどっちにせよ登場時にはそれほどのインパクトもなく、わりと自然に登場した呼延灼。双鞭をふるい、連環馬などという発想自体はわけのわからない圧力戦法を切り札として持つ男なんですけども、なんといいますか、登場人物欄の所でだいぶん前から梁山泊の仲間達の所にいるから怖いけどあんまり驚異ではない感じというか。関勝もそうだけども。

しかし凌振といい韓滔といい彭キといい、代州軍の将校をほとんど取り込んでしまう梁山泊が恐ろしいというか、替天行道って何が書いてあるのだろうな。一節たりとも作中に出てきていないと思うんだけども、曲がりなりにも官軍の人間をそんなに簡単に虜にしてしまうほどの事が書いてあるわけですよな。一応官軍に馴染んでいない描写とか大砲の事しか考えていない人間であるとか、色々前ふりはあるもののものすごい簡単に寝返っているような気もするのだけど、狙った人間をほぼ確実に引き込むっつうのはすごいところではあるよな梁山泊

んで、呼延灼のおかげで初の大敗を喫することになった梁山泊というか晁蓋ですけども、そろそろ呉用は戦闘に慣れてもいい頃なのではないかと思ったりもするんですけど、なんつうか呉用はどう見ても文官という感じなんで、戦闘向きのきちんとした軍師が必要なのではないかと感じる。軍師系は育ってきたと思うとすぐ死んじゃうしなあ。ああでも朱武がいる。梁山泊からは離れているけど、軍師らしい軍師って朱武くらいなのかな。朱武もそう目立つ感じじゃないすけども。

しかしまあ戦術も戦略もあるんだかないんだかよく解らないですけど、水滸伝における戦って罠と力業で勝った方が勝つという仕組みが出来ているような気がする。なんつうか林冲とか史進とか武松とかが超人過ぎるのよね。まあ超人がいてこそ寡兵でもって大軍を倒す梁山泊の戦が出来るんだろうけど。しかしそんな流れの中で青蓮寺は恐ろしい計画を練っていたりするのでこの先の展開が不安ですね。毒をもって毒を制すつうのの実例を初めて見られそうな気がする。

それから今更ですが公孫勝ツンデレ過ぎる。公孫勝のツンは痛烈すぎるしデレに至っては相当頑張らないと気がつかないようなレベルだけど、強烈なツンデレキャラである。

水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)

水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)