2008-10-27

[]「水滸伝 9」 北方謙三

林冲が策にはまり、軍人としてはありえない戦線の離脱を経て、命の危険にさらされるあたりから始まる第九巻。ようやく真ん中あたりに差し掛かってきたのだけど、なんかまだまだ始まらないなあという感じがする。なんでだろう。この巻は大きな戦がないので余計にそう思ってしまったのかもしれない。まだあんまり揉まない。

あ、流花塞絡みで一応禁軍が出てきたのだった。まさかここで晁蓋が死ぬのか…と思うような流れだったような気もするのだけど、そこまで派手な戦にもならず、わりと扈三娘などが目立つ感じであり、なんとなく戦としては消化不良なような気もした。まあ毎回毎回死力ばかり尽くされてもこちらとしても消耗してしまうので、たまにはこんな時もあった方がよいような気がする。

とりあえずこの巻で一番大きい動きは楊令が王進先生の所に行ったことでしょうかね。これで楊令のハイパー化が決まったわけで、楊令伝へと繋がる道筋が出来たっつうことなんでしょうけども、なんといいますか、王進の所に長く居すぎると純粋度が高まりすぎてしまって俗世に馴染めなく恐れがあるという副作用的なものが面白かった。これで楊令がすごい普通の子供になったりしても面白いのだけど。

で、最後の方で魯達を救った俺すごいつうのを再び確認するために、柴進を救おうとして、自らを伝説化したいがために脳内麻薬がドバドバ出ていた〓飛がすごかった。いくら兄弟分に諫められても英雄になった快感というものが忘れられなかったのであろう。あとまあこの巻は宋江失恋とかもありました。宋江は閻婆惜にあんまり思い入れがなかったのかしらとか思ってしまうのでこの話はどうなのと思ったけど、宋江はやはり女好きであっていいとも思う。英雄は色を好めばいい。

水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)

水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)