2010-02-04

[]「吉田観覧車吉田戦車

吉田○○車シリーズ第三弾。これで完結なのかよく解りませんけれども、なんかもうどんどん文章がこなれているなあという印象。読みやすいのは相変わらずだけども、情景描写とかがものすごい勢いで進化しているような気がする。いや生意気言ってすいません。しかしなあ面白いなあやはり。吉田戦車は俺に積極的に漫画を読ませるようにしてくれた漫画家であり、特別な思いがあるというのは前にも書いたかもしれませんけどやっぱこう、この人は文章書いても特別である。

この本は表題通りに吉田戦車が様々な観覧車に乗っていき、それに付随するお話が続いていくという話であり、観覧車に乗るという行為そのものはまあいってしまえばどうでもいい感じで、乗るまでの過程が普通に面白い。というかこの本の中に普通に怖いというフレーズがたくさん出てくるのだけど、高所恐怖症気味の人がわざわざ観覧車に乗ったり乗らなかったりするというのがなんかすごい。そう、乗らなかったりするのだ。吉田観覧車なのに。

というか、吉田自転車の時には自転車に乗っている間に色々あって、吉田電車の時は電車に乗ってどこかに行って、吉田観覧車に至っては観覧車に乗るためにどこかに行くという、完全に「車」の部分が目的になっているのにも関わらず乗らないときもあるという。斬新すぎる。そういうのも悪くないと思います。

というか今回はイラストが妙に気合入っていてそっち方面でも楽しめた。ツトムくん出てくるし。俺はぷりぷり県をわりと愛しています。イサム本部長とかすごく好き。いやいまイサム本部長のことしか思い出せてないけど。いやでも本当に味わい深い文章を書く人であるよなあとしみじみ思った。延々読んでいたくなる文章。最後一人で観覧車と向き合うあとがきなんかすごく寂しかった。終わってほしくなかった。

最終的に乗り物シリーズは吉田戦車に至るまで続けていただきたいです。

吉田観覧車 (講談社文庫)

吉田観覧車 (講談社文庫)