2009-05-14

[]「水滸伝 16」 北方謙三

宋江はロックじゃねえぜ!ということで16巻ですよ。正直吉川晃司の解説があれなので、感想書くのやめようかと思ったんですけど、一応書きます。人間には二種類います。ロックなやつとロックじゃないやつです。そうじゃねえです。そういうんじゃねえんです。俺が書きたい感想はそういうんじゃねえんですよと思いつつ、あまりにインパクトが強すぎて感想が出てこない。吉川文の。

とりあえず梁山泊官軍総力戦も終わって、その、小休止みたいな感じなんだけど、その分暗闘というか致死軍とか青蓮寺とかその辺に光が当たるというか、まあなんつうか袁明が死んだよね。って今袁明って変換されなかったんですけど、水滸伝辞書で変換されないってことは、これオリキャラなんですかもしかして。青蓮寺は空想の産物っていうのはわかるというか、水滸伝そのものが空想活劇じゃろうからなあ。しかしあれだけキャラの立った人間が死ぬというのは感慨深いものがありますな。しかし後継者が聞煥章と李富だったらまあ李富なんだろうけど、若干頼りないものがありますよね李富。本当の序盤から出ているけど、だんだん頼りなくなってるような気がするというか人間味がどんどん出てきてしまっているというか。聞煥章も扈三娘のあれがあるから微妙な感じですけども。

しかしまあ史文恭の暗殺とかその辺は読んでいると辛い。戦闘で人が死ぬのはしょうがないとも思えるというか、その死に様に心打たれたりするのだけど、暗殺はまたこれなあ。公孫勝と袁明のやりとりも暗殺ではあるけどもある意味戦ですものねえ。孫立とかの件も読んでるとへこむつうか疲れるけど、楽大娘子がもうなんかあれすぎてあの辺の話はもう。王英もあれだしなんか梁山泊の中でも志以外の感情がぶんぶん出てきてる感じで、面白いけどちょっとだるい。

そんな中とうとう動き始める禁軍つうか童貫がやばすぎる。どうみてもこれ最終兵器というか、とりあえず史進をぶつからせてみるという展開からして面白いんだけど、北方歴史物における正しい強者といいますかね。正面切って戦えるのは林冲史進くらいじゃないかと思うところで既にその史進が負けているという強さの演出が。本当のラスボスというか、本当の戦いはこれからだ…!という感じでジャンプだったら終わっててもおかしくないくらいの強そう感。

しかしその頃高キュウは相変わらずの小物っぷりを遺憾なく発揮しており、高キュウがどんな感じでかき回すのかが気になる感じでありますが、寡兵で戦いながらも練度と戦法で官軍を上まわる戦をしてきた梁山泊が禁軍本隊のどうにもならなそう感とどう相対していくのか、どうなってしまうんでしょうか。わかりません!

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)