2009-07-10

[]「水滸伝 19」 北方謙三

終わった…。今はただ喪失感でいっぱいです。だってこんな打ち切りジャンプ漫画みたいな終わり方するなんて…。いや微妙に違うか。なんかこう、えー、もうここまできたからネタバレとか気にしないで書きますけど、負けるじゃないですか梁山泊。圧倒的に強い童貫にじわりじわりと激しく真綿で首を絞めるようにやられるじゃないですか。矛盾してますけど童貫はそれくらいのことをやってのけます。で、負けて楊令に引き継いで楊令伝へっていうのは納得しますけど、なんかこう、ぐずぐずのズタボロというか、なんのための梁山泊だったかなんのための替天行道だったのかなんのための宋江だったのかという気持ちが一瞬だけよぎったのよね。

この気持ちはなにかを期待していたからなんだろうけど、もうなんつうか、結局何も出来ないというのでしょうか。そんな絶望感というかなー。滅びの美学というか、一本ずつ歯が抜け落ちていくようなそんな儚さ。いや歯が抜けるのは儚くないけど。正直コテンパンですよね。一矢報いることはありましたけどもね、それにしたってやられっぷりが。しかも童貫一人にやられてしまったっていう。

とりあえず完全オリジナルで進むであろう楊令伝が面白そうであるというのは生き残ったメンバーを見れば解りますけども、なんか今はすごい寂しい。一生水滸伝を読んで過ごすのかと思っていた俺は。読み終わった直後にまた一巻から読み始めようとしたくらいの喪失感。三国志に比べても巻数が多かったせいか寂しさがすごいです。しかし原典の方の水滸伝の内容は知りませんけど、招安を受けたあとの水滸伝はどんな気持ちで読まれていたのであろうか。まあ展開自体だいぶん違うんだろうけど。

まあなんにしてもいずれ楊令伝も読むのであろうから、これは終わりであり始まりでもあるわけで、楊令のキャラが思っていたよりはけものだったので、完結して文庫になるのを待ちたい。待ちわびたい。それでしかこの喪失感は埋まらない。

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)